デザインガイド

初めてヨーヨーをデザインする方向けに、質の高い3Dプリントヨーヨーを作るための知識を詳しく解説します。
「誰でも作れる」をコンセプトに、わかりやすく丁寧に説明しています。
3Dプリントやデザインが初めての方でも、このガイドを読めば、美しいヨーヨーをデザインできるようになります。

1. Popping YOYOでの3Dプリント方法

3Dプリンターでヨーヨーを印刷する際の基本的な考え方と、Popping YOYOでの印刷方法を説明します。
3Dプリントが初めての方でも理解できるよう、わかりやすく解説しています。

緑色の垂直線が底面になります

断面エディターで描いたヨーヨーの断面図において、緑色で表示される垂直線が、3Dプリンターの印刷時の底面(ベッド面)になります。

デザイナーページのキャンバス。緑の底面付近に底面ラベルがある

緑色の垂直線が「底面」を示しています。

断面図とは: ヨーヨーを中心で切った時の断面(輪切り)のことです。この断面を回転させることで、3Dのヨーヨーができます。

なぜ緑色の線が底面なのか?

3Dプリンターは、下から上へと層を積み重ねて印刷します。ヨーヨーの場合、側面(緑色の垂直線)を底面にして印刷することで、 安定した印刷が可能になり、サポート材(補助的な材料)を最小限に抑えることができます。

サポート材とは: オーバーハング部分を支えるために使用される補助的な材料で、印刷後に取り除く必要があります。サポート材が多いと、印刷時間が長くなり、後処理も大変になります。

良い例

緑色の垂直線がしっかりと設定され、底面として機能するデザイン。安定した印刷が可能です。

注意点

緑色の垂直線が短すぎたり、適切に設定されていないと、印刷時に問題が発生する可能性があります。

印刷の向きと回転

断面エディターで描いた断面図は、X軸周りに回転させて3Dモデルになります。

2. オーバーハングについて

オーバーハングは、3Dプリントで失敗の原因となる重要な概念です。理解して避ける方法を学びましょう。
この概念を理解することで、確実に印刷できるデザインを作ることができます。

オーバーハングとは?

オーバーハングとは、下に支えがない状態で、下向きに突き出した部分のことです。 3Dプリンターは下から上へと層を積み重ねるため、下に支えがない部分は印刷が困難になります。

3Dプリンターは下から上へ材料を積み重ねるため、空中に浮いた部分は印刷できません。

具体例

ヨーヨーの側面が内側に大きく凹んでいる場合、その凹み部分がオーバーハングになります。 この部分は下に支えがないため、印刷時に材料が垂れ下がってしまい、きれいに印刷できません。

注意: オーバーハングがあっても印刷は可能ですが、表面の仕上がりが粗くなったり、ヨーヨーの回転精度が低下する可能性があります。 できるだけオーバーハングを避けることで、美しい仕上がりのヨーヨーを作ることができます。

図で理解するオーバーハングの流れ

デザイナーページのキャンバスから、3Dプリント時の向き、そしてオーバーハングの判定までを順番に見ていきます。 画像の流れを追うと、なぜ「30度未満」が危険なのかが直感的に理解できます。

デザイナーページのキャンバス。緑の底面付近に底面ラベルがあり、右に90度回転の矢印が示されている

1. 思考のスタート地点

デザイナーページのキャンバスでは、緑の線が「底面」を示します。まずはこの底面を基準に考えます。 右向きの矢印は「90度回転させてプリンタの向きに合わせる」ことを表しています。

キャンバスを右に90度回転させ、緑の底面が実際の底面に来た向き

2. プリンタの向きに合わせる

90度回転させることで、緑の底面が「実際にプリントする底面」になります。 ここから下→上に積層される前提で考えます。

キャンバスのデザインを回転させて実際のヨーヨー断面の向きにした図

3. 断面として見る

回転後の向きが、実際のヨーヨー断面の見え方です。 ここからオーバーハングの説明に入ります。

底面から伸びる線分と、その角度が示されている図

4. 底面からの角度を見る

画像の赤い線で表示されている角度に注目してください。この角度が浅すぎるとオーバーハングとして判定されます。

底面からの角度が浅くなり、30度未満がオーバーハングであることを示す図

5. 30度未満は危険

角度が浅く(30度未満)なると、下に支えがなくなりオーバーハング状態になります。 この状態は印刷品質が大きく低下します。

積み木をずらして積んだ図で、オーバーハングだと崩れる様子を示している

6. 積み木の例で理解

積み木をずらして積むと崩れるように、オーバーハングがあると積層がうまく支えられず崩れます。 3Dプリントでも同じ問題が起きます。

底面だけでなく任意の高さでも同じ考え方でオーバーハングを判断できることを示す図

7. 途中の高さでも同じ

オーバーハングは底面だけの話ではありません。 任意の高さでも同じ考え方で角度を見て、危険な箇所を避けます。

オーバーハングの判定方法

断面エディターでは、自動的にオーバーハングを判定し、問題がある場合は警告を表示します。

判定の基準

オーバーハングの判定は、基準線分(緑色の垂直線)からの角度で行われます。 角度が30度未満の部分はオーバーハングとして検出されます。

エラー(赤色)

深刻なオーバーハングが検出されました。このままでは印刷できません。

角度が10度未満、または10度以上30度未満の深刻なオーバーハングが検出された場合に表示されます。

警告(黄色)

軽度のオーバーハングが検出されました。印刷は可能ですが、品質に影響する可能性があります。

角度が30度未満の下向きの部分が検出された場合に表示されます。30度以上であれば問題ありません。

オーバーハングを避ける方法

方法1: 角度を緩やかにする

急激な角度変化を避け、できるだけ緩やかな曲線や角度にすることで、オーバーハングを減らせます。

推奨: 基準線分からの角度を30度以上に保つ(30度未満はオーバーハングとして検出されます)

方法2: 内側の凹みを浅くする

ヨーヨーの内側(中心に近い部分)に深い凹みを作ると、オーバーハングになりやすくなります。 凹みを浅くするか、段階的に変化させることで回避できます。

方法3: デザインを調整する

オーバーハングが発生している部分のポイントを調整し、下向きの角度を緩やかにします。 断面エディターの警告を参考に、問題のあるポイントを特定して調整しましょう。

3. 面取り(角の丸め方)

デザイナーページでは直線のみが使用できます。角を丸くしたい場合は、ポイントを追加して滑らかな曲線を作りましょう。

面取りとは?

面取りとは、角を丸くすることです。 ヨーヨーのデザインで角を丸くすることで、見た目が滑らかになり、手に持った時の感触も良くなります。

デザイナーページの制約

デザイナーページでは、曲線を直接描くことはできません。すべての線は直線で構成されます。 角を丸くしたい場合は、複数のポイントを追加して、短い直線を組み合わせることで滑らかな曲線を作ります。

面取りの作り方

1
角の部分を特定する

丸めたい角の部分を特定します。通常、2つの直線が交わる部分が角になります。

2
ポイントを追加する

角の部分に、複数のポイントを追加します。ポイントを追加することで、短い直線が増え、結果として滑らかな曲線に見えます。

コツ: ポイントを多く追加するほど、より滑らかな曲線になります。ただし、ポイントが多すぎるとデザインが複雑になりすぎるので、バランスが重要です。

3
ポイントの位置を調整する

追加したポイントを、角が丸く見えるように位置を調整します。 ポイントを角の外側に配置することで、角が丸みを帯びたように見えます。

実践的なアドバイス

  • 少ないポイントから始める: まずは1〜3個のポイントを追加して、様子を見てみましょう。

  • 3Dプレビューで確認: ポイントを追加したら、3Dプレビューで実際の見た目を確認しましょう。思った通りの丸みになっているか確認できます。

  • オーバーハングに注意: ポイントを追加する際は、オーバーハングが発生しないように注意しましょう。急激な角度変化を避けることが重要です。

よくある質問

Q: 何個のポイントを追加すれば良いですか?

A: 角の大きさや、どのくらい丸くしたいかによって異なります。一般的には、2〜5個のポイントを追加することで、十分に滑らかな曲線を作ることができます。まずは少ないポイントから始めて、必要に応じて追加していきましょう。

Q: すべての角を丸くする必要がありますか?

A: いいえ、必ずしもすべての角を丸くする必要はありません。デザインの好みや、ヨーヨーの用途によって、角を残すことも有効です。ただし、手に持った時の感触を良くしたい場合は、主要な角を丸くすることをおすすめします。

4. ヨーヨーのモーメント(慣性モーメント)

ヨーヨーは回転する物体です。良いヨーヨーを作るには、モーメントの理解が重要です。
難しい言葉に聞こえますが、実はとてもシンプルな概念です。理解することで、より良いヨーヨーをデザインできます。

モーメント(慣性モーメント)とは?

モーメント(慣性モーメント)は、物体が回転しにくさを表す物理量です。 ヨーヨーの場合、この値が大きいほど回転が続きやすく、小さいほど回転が止まりやすくなります。

わかりやすく言うと: モーメントが大きいヨーヨーは、一度回転を始めると長く回り続けます。 これは、重さが外側(中心から遠い位置)に集中しているためです。逆に、重さが中心に集中していると、モーメントが小さくなり、すぐに回転が止まってしまいます。

なぜ重要か?

ヨーヨーのパフォーマンスは、モーメントに大きく依存します。適切なモーメントを持つヨーヨーは、 スリーパーが長く続き、トリックがしやすくなります。

モーメントを調整する方法

外側に重量を配置する

重量を中心から遠い位置(外側)に配置すると、モーメントが大きくなります。 これにより、回転が続きやすくなります。

例: リム(外側の縁)を厚くする、外側に突起を追加する

内側を軽くする

中心に近い部分(内側)を軽くすることで、相対的に外側の重量が増え、モーメントが大きくなります。

例: 内側に凹みを作る、内側の壁を薄くする

バランスが重要

モーメントを大きくしすぎると、ヨーヨーが重くなりすぎて扱いにくくなります。 重量とモーメントのバランスを取ることが重要です。

重量について

断面エディターでは、デザインしたヨーヨーの重量を表示しています。 この重量は、あくまで参考値であり、実際の重量とは異なる場合があります。

重量の誤差について

実際の重量は、表示されている重量と数グラムのズレが生じる可能性があります。 これは以下の要因によるものです:

  • 使用する材料(フィラメント)の密度の誤差
  • デザインの微細な形状の違い
  • 3Dプリント時の製造上の誤差(層の厚み、充填率など)
  • ベアリングやパッドなどの部品の重量の個体差

色による重量の違い

白系の色は、他の色と比べて軽くなる傾向があります。 これは、白系のフィラメントに使用される顔料や添加剤の特性によるものです。 そのため、同じデザインでも、色によって実際の重量が異なる場合があります。

ご注意: 表示されている重量は、デザインの参考としてご利用ください。 実際の重量は、完成品を測定して初めて正確な値がわかります。

実践的なアドバイス

  • 1

    まずは基本的な形状から始めて、徐々に調整していきましょう。

  • 2

    断面エディターで表示される重量情報を参考に、デザインを調整しましょう。ただし、表示重量は参考値であることをご理解ください。

  • 3

    実際に印刷して使ってみて、感覚を掴むことが最も重要です。

5. 印刷可能なデザインの作り方

3Dプリンターで確実に印刷できるデザインを作るためのポイントをまとめました。
これらのポイントを押さえることで、失敗のない、美しいヨーヨーを作ることができます。

基本原則

緑色の線を適切に設定

緑色の垂直線(底面)を2mm以上確保し、しっかりと設定しましょう。これが印刷の安定性の基礎となります。

オーバーハングを避ける

基準線分からの角度を30度以上に保ち、オーバーハングを最小限に抑えましょう。これにより、美しい仕上がりが期待できます。

滑らかな曲線

急激な角度変化を避け、できるだけ滑らかな曲線を心がけましょう。ポイントを追加することで、滑らかな曲線を作ることができます。

適切なサイズ

細すぎる部分や薄すぎる部分を避け、印刷可能な厚みを確保しましょう。一般的に、1mm以上の厚みがあると安定して印刷できます。

デザインチェックリスト

  • 緑色の垂直線が2mm以上あるか?
  • オーバーハングの警告やエラーがないか?
  • 急激な角度変化がないか?
  • 印刷適性スコアが良好か?(80点以上推奨)
  • 重量が適切か?(一般的に50-70g程度、表示重量は参考値です)

よくある失敗例と対処法

問題: 内側が深く凹んでいる

ヨーヨーの内側が深く凹んでいると、オーバーハングが発生しやすくなります。

対処法: 凹みを浅くするか、段階的に変化させる

問題: 緑色の線が短すぎる

緑色の垂直線が2mm未満だと、印刷時に不安定になります。

対処法: 緑色の線を2mm以上確保する

問題: 急激な角度変化

急激な角度変化があると、印刷時に層がずれたり、品質が低下します。

対処法: 滑らかな曲線に調整する

6. 当店のデザイン制作方針

お客様がデザインしたヨーヨーを、どのように制作するかについて説明します。

お客様指定のデザインのまま制作します

当店では、お客様がデザイナーページで作成したデザインを、そのまま3Dプリントして制作します。 デザインの修正や調整は行いませんので、ご注文前にデザインをしっかりと確認してください。

ベアリング周りは除きます

ただし、ベアリング(軸受け)周りの部分は、ヨーヨーが正常に動作するために必要な形状に調整します。 これは、どのヨーヨーでも必要な調整で、デザインの見た目には影響しません。

ご注文前に確認していただきたいこと

  • 3Dプレビューで確認: デザイナーページの3Dプレビューで、完成形をしっかりと確認してください。

  • 印刷適性スコアを確認: 印刷適性スコアが良好(80点以上推奨)であることを確認してください。

  • オーバーハングの警告を確認: 重大なオーバーハングのエラーがないことを確認してください。

  • サイズと重量を確認: ヨーヨーのサイズと重量が適切であることを確認してください。

ベアリング周りについて

ベアリング(軸受け)は、ヨーヨーが回転するために必要な部品です。 ベアリングを正しく取り付けるためには、中心部分に特定の形状が必要です。

当店では、ベアリングが正しく取り付けられるように、中心部分の形状を自動的に調整します。 この調整は、ヨーヨーの外観には影響せず、機能面でのみ必要な調整です。

7. 専門用語集

デザインガイドで使用した専門用語の詳しい説明は、専門用語集ページで確認できます。
わからない用語が出てきたら、専門用語集で詳しく調べることができます。

もっと詳しく知りたい方は

専門用語の詳しい説明や、より詳細な技術情報は専門用語集ページをご覧ください。

さあ、デザインを始めましょう!

学んだ知識を活かして、あなただけのオリジナルヨーヨーをデザインしてみましょう。

デザイナーページでは、このガイドで学んだことを実際に試すことができます。 まずは簡単なデザインから始めて、徐々に複雑なデザインに挑戦してみてください。